「黒い画面に英語の文字列…なんだか怖そう…」
パソコン、特にWindowsに慣れ親しんだ方でも、ターミナル(黒い画面)に対して、そんなイメージをお持ちではないでしょうか。
しかし、現在のWindowsでは「Windows Terminal」という非常に高機能で使いやすいツールが提供されており、開発者だけでなく、すべてのPCユーザーにとって便利な存在となりつつあります。
この記事では、Windows Terminalの基本的な使い方から、自分好みにカスタマイズする方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。もう「黒い画面」を怖がる必要はありません。一緒にWindows Terminalの世界へ踏み出しましょう!
Windows Terminalとは?
Windows Terminalは、Microsoftが開発した最新のターミナルアプリケーションです。
従来の「コマンドプロンプト」や「PowerShell」といったコマンドラインツールを、一つのウィンドウ内でタブを切り替えて利用できるのが最大の特徴です。
主な特徴
- タブとペイン
ブラウザのように複数のタブを開いたり、一つのタブ内で画面を分割(ペイン)したりできます。 - 豊富なカスタマイズ性
背景色やフォント、透明度などを自由に変更し、見た目を自分好みに設定できます。 - 複数のシェルに対応
従来のコマンドプロンプトやPowerShellはもちろん、WSL (Windows Subsystem for Linux) を使ってLinuxのコマンドも利用可能です。 - GPUアクセラレーション
レンダリングにGPUのパワーを使うことで、高速で滑らかなテキスト表示を実現しています。
Windows 11には標準でインストールされており、Windows 10でもMicrosoft Storeから無料でインストールできます。
基本的な使い方
まずは、Windows Terminalの起動方法と基本的な操作に慣れましょう。
起動方法
①スタートメニューから
画面左下のWindowsスタートボタンを押し、キーボードで「ターミナル」と入力します。表示された「ターミナル」をクリックして起動してください。

②右クリックメニューから
エクスプローラーでフォルダを開いた状態で、何もないところを右クリックし、「ターミナルで開く」を選択すると、そのフォルダを起点としてターミナルを起動できます。

画面の見方と基本操作
起動すると、デフォルトでは「Windows PowerShell」のタブが開きます。
プロンプトPS C:\Users\YourName>
のように表示されている部分を「プロンプト」と呼びます。ここがコマンドの入力待機状態を示しています。

タブの追加
タブバーの「+」ボタンをクリックすると、新しいタブが開きます。

シェルの切り替え
「+」ボタンの横にある「∨」をクリックすると、開くシェルの種類(コマンドプロンプト、PowerShell、Azure Cloud Shellなど)を選択できます。

画面の分割(ペイン)Alt
+ Shift
+ +
で画面を縦に分割、Alt
+ Shift
+ -
で横に分割できます。ペイン間の移動は Alt
+ 矢印キー
で行います。

これだけは覚えたい!基本コマンド
ターミナルは、コマンドを入力してPCに指示を出すツールです。ここでは、どのシェルでも共通で使える基本的なファイル操作コマンドをいくつか紹介します。
- cd(Change Directory)
ディレクトリ(フォルダ)の移動に使います。
ここでは cd .\Downloads\ と実行しました。
今いる場所が下の画像の左から右に移ったということです。
ls
(PowerShell/WSL)dir
(コマンドプロンプト)
ファイルやフォルダの一覧表示に使います。
PowerShell/WSLではlsですが、コマンドプロンプトではdirなので注意しましょう
Windowsの設定が日本語なのでエクスプローラーでは勝手に翻訳して表示されているものもありますが、エクスプローラーと同じものが表示されましたね!
- mkdir(Make Directory)
新しいフォルダを作成するときに使います。
ここでは mkdir command-test と実行しました。
エクスプローラーで確認するとcommand-testというフォルダが作られていますね!
- cp(Copy)
ファイルをコピーするときに使います。
ここでは cp .\copyTest.txt newCopyTest.txt と実行しました。
エクスプローラーで確認するとnewCopyTest.txtというファイルが作られていますね!
もちろん中身はcopyTest.txtと全く同じものです。
- mv(Move)
ファイルを移動または名前変更するときに使います。
ここでは mv .\copyTest.txt mvTest.txt と実行しました。
エクスプローラーで確認すると copyTest.txt が mvTest.txt に変わっていますね!
ファイルの移動もしてみましょう。
mkdir new でnewというフォルダを作成し、
mv .\mvTest.txt .\new\mvTest.txt でnewの中に移動しました。
きちんと移動できていますね!
- rm(Remove)
ファイルを削除するときに使います。
ここでは rm .\mvTest.txt と実行しました。
エクスプローラーで確認すると mvTest.txt が消えていますね!
コマンド入力のコツ
Tab
キーを押すと、ファイル名やフォルダ名を補完してくれます。入力ミスが減り、非常に便利です。
また、↑
↓
キーで、過去に入力したコマンドの履歴を呼び出せます。
シェルって何?コマンドプロンプト、PowerShell、WSLの違い
Windows Terminalはあくまで「器」であり、その中で実際にコマンドを実行するのが「シェル」です。初心者の方が混乱しがちな、代表的なシェルの違いを簡単に解説します。
コマンドプロンプト (cmd)
昔からWindowsに搭載されている基本的なシェルです。単純なファイル操作や古くからあるバッチファイルを実行するのに向いています。
PowerShell
コマンドプロンプトを大幅に機能拡張した後継のシェルです。より複雑な処理やシステムの管理タスクを得意とし、スクリプト言語としての側面も持ち合わせています。現在のWindowsの標準シェルです。
WSL (Windows Subsystem for Linux)
Windows上でLinux環境を動かすための仕組みです。これにより、Windowsを使いながらLinuxの豊富なコマンドや開発ツールが利用可能になります。Web開発者などに広く使われています。
まずはデフォルトのPowerShellに慣れることから始めるのがおすすめです。多くの解説記事や情報もPowerShellを基準に書かれています。
自分好みにカスタマイズしよう!
Windows Terminalの大きな魅力の一つが、柔軟なカスタマイズ性です。設定画面から簡単に見た目を変更できます。
タブの「∨」から「設定」を選択し、設定画面を開きましょう。

スタートアップ設定

- 既定のプロファイル
ターミナル起動時に最初に開くシェルを選択できます。よく使うシェル(例えばコマンドプロンプト)に変更しておくと便利です。 - 既定のターミナル アプリケーション
Windows Terminalを既定のホストに設定しておくと、他のアプリケーションからコマンドラインツールが起動される際もWindows Terminalが使われるようになります。
外観
- 配色テーマ
「ダーク」「ライト」など、ターミナル全体のテーマを変更できます。

プロファイルごとの設定
左側のメニューから「PowerShell」や「コマンドプロンプト」などを選択すると、シェルごとに個別の設定が可能です。

個別の外観設定では、配色やフォントなど細かく設定可能です。

まとめ
Windows Terminalは、コマンドライン操作のハードルを大きく下げてくれる、パワフルで使いやすいツールです。最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、基本的なコマンドと操作をいくつか覚えるだけで、ファイルの整理や定型作業の自動化など、PCの利用効率を格段に向上させることができます。
この記事をきっかけに、ぜひWindows Terminalを触ってみてください。カスタマイズを楽しみながら、少しずつコマンドに慣れていけば、「黒い画面」はいつの間にかあなたの頼れる相棒になっているはずです。
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